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合唱のこと、英語のこと、本のこと、友達のこと、仕事のこと・・・とりあえず、ダラダラ続ける日記です。

バッハを研究している人には常識なのかもしれんけど
●昨日の練習でマエストロが教えてくれたんですけど

ロ短調ミサの第1曲目Kyrieを例にとって、
いろんな数の象徴を暗号コードのように
組み込んでいるっていうお話がありました。

三位一体を象徴するよーに、だいたい大事な
言葉は3回唱えるってのが、元々キリスト教の伝統にあって、
宗教曲でも、大事な言葉が3回続くというパターン、たくさんあるけど、
他にもいろいろあるそーで、時々そーいうお話になる。
で、昨日のお話が面白かったんで、書いておこう、というわけ。

●「14」が隠されている

1つは「14」という数字が曲の中にこっそり組み込まれているってお話。

どこが14かってぇと、スコアを見ると分かりやすいんですが、
器楽+5声(通常の混声合唱は4声だけど、バッハはよくソプラノを
1と2に分けて、全く別のことをさせて5声構成にしている)+
通奏低音で、都合14声で全体が構成されている。

①フルート・トラヴェルソ1
②フルート・トラヴェルソ2
③オーボエ1
④オーボエ2
⑤ファゴット(1、2)
⑥ヴァイオリン1
⑦ヴァイオリン2
⑧ヴィオラ
⑨ソプラノ1
⑩ソプラノ2
⑪アルト
⑫テノール
⑬バス
⑭通奏低音

で、14声。ふむふむ、言われて数えてみれば、確かにその通り。

で、なんで14?

キリストの12使徒とは関係ないか・・・?

とか悩んでいたら、これ、数の遊びなんですって。

アルファベットの第何番目にくるか、によって
文字と数字を対応させていくと、

A=1 B=2 C=3 D=4・・・という具合になる。

で、これをBACHでやると、

B=2 A=1 C=3 H=8
2+1+3+8=14(!)

なんだ! ちゃっかり自分の名前を入れてるんじゃん!
遊んでるんじゃん!
ダ・ヴィンチコードかいな!

ということになる。

マエストロがおっしゃるには、
「バッハは真面目じゃないです。お遊びもしてるんです」
とのこと。

ふ、ふ~ん。
でも、お遊びを仕組むためには、相当な力が要るような気が
するんだよなー。

よくスポーツ選手が「楽しんできます」と言ってるけど、
「楽しむ」ためには、その前に「極めて」いないと、
「楽しむ」余裕は生まれない。

●さらに、「126」ってのの話に移る。

で、こっちはさらに力ワザのよーな気がするのだが、

このKyrie、126小節で終わるよーになっている。
これが、偶然そーなってるんじゃなくて、
ちゃんと意味があるんだそうなんですよー。

意味を持たせたい数に合わせて、小節数を
決めて作曲するなんて、ホント、もんのすごい
力ワザである。

バッハ研究によると、この「126」は、
詩篇の「126」に対応してるんだって!

詩篇126って、どんなんだっけ?
・・・と手元の聖書を紐解いてみたところ、

最後の方に
「涙と共に種を播く人は
喜びの歌と共に刈り入れる。
種の袋を背負い、泣きながら出て行った人は
束ねた穂を背負い、喜びの歌をうたいながら帰ってくる。」
というのがあり、

あれ?

どっかで見たような!!

そう、これ、ブラームスのドイツ・レクイエムの
第1曲「Selig sind」の後半部分の歌詞なんです~~~!

ちなみにSelig sind(汝、幸いなるかな)の前半は、

マタイによる福音書第5章第4節。

「苦しみ悲しむ者は幸いである。
その者は慰めを受けられるからである。」

に続くのが、上の「涙と共に種を播く人は・・・」なのです。

ってことは、ブラームス、本歌取りしてるのか!?

へぇぇ・・・。なんか、つながっているんだねー。

●バッハの暗号は、歌の本質じゃないけど

他にもマエストロ解説でみんながお気に入りなのは、
Crucifixusの「13階段」。

この曲、難しくって、みんなでなえていたところ、
興味を持たせようと話して下さったみたいなんですが、

この曲全体で、天から下った神の子が13階段(いわずと知れた、死刑台の象徴)
を一歩一歩歩んで、受難に至る、というのを象徴した作りになっている、
というお話なんです。

お手元に譜面があれば、通奏低音部分をチェックしていただくと
分かりやすいのです。

初っ端に出てくる五線下のEの4分音符2個のパターンに注目して
下さい。音形は同じものの繰り返しで、

下のE2つ→オクターブ上のE4つ→D♯2つ→D♮4つ→
C♯2つ→C♮4つ→B6つ→再び下のE2つに戻る(音符は
全部四分音符)

を繰り返しています。

で、この下のE2つがいくつあるか数えていくと、
ちゃんと13個ある!

で、この13個のE2つを目で追いながら
歌っていくと、なんか、ほんとに目の前に
キリストが13段の階段を一歩一歩歩んでいくような
気がしちゃって、それまで自分のパートだけ見て
「うう、歌いにくい」とか思ってたのが、目がパッと
覚めるような気がして、ちょっと感動して涙が出そうに
なっちゃいました。

それまで、この曲は難しくて・・・とみんなで
敬遠してたのですが、今ではもう、
歌うの、すごく好き。

臨時記号で示される和声の重要ポイントも、
理屈はよーわからんけど、うん、ここで
この色合いの音が欲しいよね!
と納得して歌えると、やっぱり違う。

一歩一歩死への階段を歩んでいくキリストの
歩みに、歌い手の心が寄り添っていく感じです。
歌うたびに感動します。

1曲1曲の調性や、
選ばれた音には、必ず作曲者のイメージがあり、
どうしてその音を選んでいるのか、
何をどうイメージしてその音を使っているのか、
必ず意味がある。無駄な音は1音もない。
だからこそ、1音1音を極上の響きで歌わないといけない。

そう繰り返し教えて下さるマエストロのお言葉、
いつも考えさせられます。

昨日はお話を聞きながら、
あ、そうか、物語を書く時と、おんなじなんだぁ、と
一人ひそかに納得してました。

物語を動かすキャラクターを決める時に、
物語の中には書ききれないかもしれないけど、
どんな人生を生きてきた人か、を想像したり、
どんな口調で話すのか、を考えたりしているうちに、
その人にぴったりの名前が出てくるんですよね。
で、ぴったりの名前がつくと、ちゃんと動き出してくれる。
どころか、書き手の筆を離れて、どんどん一人歩きを始めてくれる。
こうなるとしめたもので、書き手は、キャラクターの後を
追って、ただその言動を書き留めていけばいいだけになる。

これが、名前がぴったりハマらないと、なかなか思うように
動いてくれない。
ですから、私のよーなへなちょこな書き手でも、
キャラクターの名前を決める時には、時々
うんうん唸ります。

するっと出てきてしまう場合もありますけれど、
なかなか出てこない場合もある。
これが産みの苦しみってヤツなんだろーか?
とか思うけれど、ともかく
名前が決まるまでは、にっちもさっちも動かないものなんですよねー。

作曲家が最初の1音を選ぶ時も、
これに似た葛藤があるのかもしれません。

あ、指揮者の最初の1振りも、
そーなのかも。

書道家も、最初の1筆を下す時が
勝負だろうしなぁ。

・・・てな事を、とりとめなく考えたり
してるんですが、

大バッハとは比ぶべくもないが、
モノを創る、というのは、きっと
そーいうものなんだろう、と思います。

音楽を通して、偉大な芸術家の
創作の瞬間に思いをはせるのって、
ものすごく豊かな贈り物をもらっているのかもしれません。

やっぱり音楽を続けてきて、良かった。





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