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合唱のこと、英語のこと、本のこと、友達のこと、仕事のこと・・・とりあえず、ダラダラ続ける日記です。

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エッセイ「言の葉のゆかし楽しきおもしろき事」全文
英語俳句監修をさせていただいたYさん主宰の
句会の本最新号に、エッセイを載せていただきました。
本日、刊行なった本が到着。嬉しく拝読中。
で、自分の書いたエッセイを、記録のために
掲載。


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言の葉のゆかし楽しきおもしろき事


山麓句会19合目篇『徳は孤ならず』(山麓童人・編)
2016年4月15日発行
掲載エッセイ(2015年12月10日作成)


 自ら発句する事稀な散文書きの私も、山麓句集にご縁を頂いて以来、鑑賞の楽しみを大いに満喫するようになった。さらに二○一五年は、英語俳句監修の大役を賜り、言葉の海の奥深さを、日本語及び英語で存分に堪能するに至った。
 学生時代から、ともかく書く事が好きで、国語と、国語の歴史を辿るのに欠かせない日本史の授業だけは夢中で勉強した。さまざまな語彙と、その背景にある歴史・風景を追うことが、書き手としての自分の栄養になる、と気が付いていたのかもしれない。と言うと格好がいいが、多分に無自覚で、単に「好きこそ」の口だったのだが。
 その私が、何をどう間違ったのか、アメリカに留学してしまった。それも、長年やってきたクラシック音楽ではなく、ジャズを専門に教える学校に入ってしまった。我ながら、何をやっているのか? である。
 書く事以外で夢中になっていたものが音楽だった。その熱中は未だに続いており、最近は書く事と音楽をする事が、私の両輪なのだ、と遅蒔きながら悟ったところで、これはもう、どちらも捨てられない。二つの輪が、私を前へ進ませる原動力である。どちらの道も、生涯を懸けるに値するものと覚悟を決めて、大いに楽しむ事にした。
 さて、音楽をするために、なぜアメリカか? の話に戻ろう。幼稚園からピアノ、小学校では器楽合奏、中学からは合唱、さらに高校からは声楽の先生に師事し、大学時代はクラシックの合唱にのめり込み、これが現在まで続く音楽傾向で、メインストリームはあくまでクラシック………なのだが、一方でジャズやポップスを聴くのも楽しかった。クラシックの音楽家として一本立ちする才能には乏しいので、この際、ジャズも勉強してみようか、と安易に決め、当時全く不得意な言葉の国・アメリカへ、うかうかと上陸してしまった。
 国語は好きだけど、外国語なんて、出来れば見たくない、という人間が、アメリカに行ったからと言って、すぐに魔法のように英語を使えるようになるわけがない。意味不明の音の波だったアメリカ人の発言が、「どうやら、意味のある事を言っているらしいな」と納得するまで、三カ月もかかった。マクドナルドのカウンターで、おざなりに聞かれる決まり文句「ヒアー・トゥ・ゴー」(Here or to go? だが、ほとんどorは聞こえない)というのが、「お店で食べますか、それともお持ち帰りですか」を指す・・・と気が付くまでの、何と長かったことか。


 その国の言葉を使えなければ、アパートで漏水事故があっても、引ったくりに遭っても、助けを呼ぶ事すら出来ない。ましてや、音楽の勉強をや、である。ジャズを聴いて楽しむ事と、自分が歌って楽しむ事の間には、日本海溝より深い深淵が横たわっている事を実感し、ジャズシンガーも断念。ジャズは隠し芸と決め、十年に一度くらいは、友人に誘われてライブステージに出てみようかな……程度に収まり、クラシック音楽の世界に回帰してしまったが、実のところ、バッハに代表されるバロック音楽は、現代のジャズミュージックと非常に親和性が高く、なるほど、アメリカくんだりまで出掛けて、ジャズのジャの字をかじってみたのも、決して無駄ではなかったらしい。


音楽の道を通じて出会った英語についても、日本語につながる確かな道があったのだ、と今では思う。


 帰国後も、せっかく親しんだのだから、と英語の本ばかりを読むようになり、十年、二十年が経過した。最初のうちは、ともかく分らない単語は読み飛ばし、最後まで行き着く事を目標にして読んでいたが、次第に知らない単語を丁寧に語源まで調べるようになり、それが楽しくなった。楽しんで接するようになると、英語も悪くない、いや、ひょっとしたら、英語というのは、日本語にも負けない深みのある表現に富んだ言葉なのではないだろうか、と思い始めた。


たとえば、日本の英語教育では、「笑う」という表現は、「smile」「laugh」の二つしか教えられない。もちろん、この二つが代表格ではあるのだが、それ以外にも、「ほくそ笑む」「嘲笑う」「吹き出す」「転げまわって大笑いする」「くすくす笑う」「後ろ指を指してニヤニヤする」「にこにこと屈託なく笑う」「笑いさざめく」など、それこそいくらでもある。日本語と同じく、微妙なニュアンスを言い分ける言葉がごまんとあるのだ。なぜそうなのか、というと、答は単純だ。英語は、人生の全てを、生活の全てを表現するのに貪欲な言葉だからである。そのために、はるか昔から現在に至るまで、国の内外からあらゆる表現を収集し、集積し、それらを縦横無尽に使い続けているのである。


英語の歴史は、ヨーロッパの歴史の縮図である。北方から侵入したバイキングの言葉、その後強大な支配力を発揮したローマ帝国のラテン語、あるいは一時期イギリスを占領していたフランス語由来の言葉、さらにギリシャ・ローマ神話由来、キリスト教由来の言葉などが、それこそ入り乱れて存在する。さらに、英語を話す人々がアメリカに渡り、そこで独自の表現を開発した。英語が現在世界語になっている一因に、新しい言葉をどんどん吸収して我が物にしていくエネルギーがある、と言われるが、まさにそれがために、英語は世界に広がっているのかもしれない。


日本では昨今、何でもカタカナ化して英単語を取り込むことが多いが、時には日本語の単語で言った方がより分かりやすいし、的確である、という場合もある。英語は確かに豊かな言語体系を持っているが、だからと言って、日本語の言語体系がそれに劣っているわけでは決してない。それどころか、日本語の内包する豊かな言語世界は、これまで英語になかった新しい地平を切り開くものとして歓迎されつつある。


「旨み」、「もったいない」「禅」――。これらは、今までの英語にはなかった新しい思想そのものを表す表現だ。さらに、日本人の生活感や日々の仕事もまた、英語の世界に新鮮な驚きを与えた。例えば「可愛い」だ。大人も子供も使う日本的な意味合いの「可愛い」は、日本のポップカルチャーが世界を席巻したことにより、爆発的ヒットとなった。「可愛い」は、大人も子供も楽しめるコンセプトとして英語の中に定着したのである。また、トヨタに代表される日本企業の現場コンセプトの優秀さに着目したアメリカ人は、自分たちのビジネス環境の改善の活路を、「現場」という言葉に込めようとしている。世界は、日本語を貪欲に受け入れようとしているのである。


思えば、私たち大半の日本人にとって、英語は大きな障壁だった。それがあるがために、外国人の前に出ると、緊張で固まってしまう。だが、そんな私たちのちっぽけなコンプレックスなど、世界は全く意にも介していないらしい。それどころか、日本はおもしろい、もっとおもしろい日本的思考はないのか、と盛んにすり寄ってくる。


私自身、これだけ長年英語に接していながらも、外国人の前に出ると、一瞬顔が引きつってしまいそうになったりする。まだどこかで怖がっているのだろうが、怖がっているうちに、時は無情に過ぎ去ってしまうので、出来る限り楽しみたい、と思う。それこそ貪欲に、言葉の海に溺れ、心ゆくまで楽しみたい。母なる語・日本語と、異国で出逢った語・英語。それらもまた、私の両輪なのだ。



   ↑
今回のエッセイに付けて下さった挿画♪
お気に入り。



   ↑
今回の表紙。表題は、論語・里仁の「徳不孤 必有隣」(徳は孤ならず、必ず隣あり)から取ったものだそうで、「お互いを高め合い励まし合いながらこれからの人生を歩んでいきたい」という願いを込めたものだそうです。

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