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合唱のこと、英語のこと、本のこと、友達のこと、仕事のこと・・・とりあえず、ダラダラ続ける日記です。

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狛江のこと
●日曜・月曜でお葬式に伺いました。

合唱の先輩S田さんの奥様のご葬儀に参列させていただきました。

会場に入ると、
ブラームスの「ネーニエ」が流れていました。

私たちも学生時代にソーノでやった曲でしたが、柏葉会合唱団出身で、就職後も社内の合唱団やジュネスで歌っていらした奥様も歌われた思い出の曲だそうです。一人娘のお嬢様も、学生合唱団で歌われたそうで、家族の絆とも言える特別な曲なんですね。

Ach, das shone muss sterben,
(美すら滅びねばならない)

(*ドイツ語入力キーボードがないため、読みにくいかと思いますが、ご容赦を。)

という冒頭を、喪主のご挨拶の中で引用されていました。

ネット上に訳詞がありました。

「美しき者とて滅びねばならぬ!
それこそが人々と神々を支配する掟
(中略)
見よ! 神々が泣いている
女神たちもみな泣いている
美しきものが色あせることに
完全なるものも死にゆくことに
愛する者の口より出ずる嘆きの歌は素晴らしいものだ
なぜなら凡人たちは音も立てずに
冥界へと降りてゆくのだから」
  (フレデリック・フォン・シラーの詩より)

棺の中の奥様は、とっても可愛いらしい方で、まるで眠っているよう。
一緒に収められた写真の中に、
まだ2つか3つのお嬢様を抱っこしたS田さんと奥様の満面の笑みがありました。

●ご本人のお許しを得て書いていますが

まだ54歳という若すぎる死……。

お嬢様が大学を卒業され、就職して独立されるのを待ち、安心して逝かれた、と思いたいです。

お通夜の後と、告別式の際に、
詳しいご説明がありましたが、

奥様は、脳が萎縮していくという
神経難病をここ十年ばかり患っておられ、七年ほど前から介護施設に入所されていたそうです。

お嬢様が中学生になられた頃から、言動がそれまでとは違い、おかしい、ということで精密検査を受け、病が発見されたそうです。

その当時のご家族の不安と焦燥は
想像するに余りあります。

思春期のお嬢様は、どんなに
お辛かったでしょう。

年頃のお嬢様と、ご病気の奥様。
お二人を支えるために、
歯を食いしばっておられたに
違いないS田さん。

ご自分の苦しさを、
ほとんど口にされる事のない
S田さんは、
この長い年月を、
歌を支えに、
歌う友と共にあることを
大切になさり、
堪えてこられたのかもしれません。

新見南吉の小さなお話を
思い出しました。

デンデンムシノ カナシミ

 イツピキノ デンデンムシガ アリマシタ。
 アル ヒ ソノ デンデンムシハ タイヘンナ コトニ キガ ツキマシタ。
「ワタシハ イママデ ウツカリシテ イタケレド、ワタシノ セナカノ カラノ ナカニハ カナシミガ イツパイ ツマツテ イルデハ ナイカ」
 コノ カナシミハ ドウ シタラ ヨイデセウ。
 デンデンムシハ オトモダチノ デンデンムシノ トコロニ ヤツテ イキマシタ。
「ワタシハ モウ イキテ イラレマセン」
ト ソノ デンデンムシハ オトモダチニ イヒマシタ。
「ナンデスカ」
ト オトモダチノ デンデンムシハ キキマシタ。
「ワタシハ ナント イフ フシアハセナ モノデセウ。ワタシノ セナカノ カラノ ナカニハ カナシミガ イツパイ ツマツテ イルノデス」
ト ハジメノ デンデンムシガ ハナシマシタ。
 スルト オトモダチノ デンデンムシハ イヒマシタ。
「アナタバカリデハ アリマセン。ワタシノ セナカニモ カナシミハ イツパイデス。」
ソレヂヤ シカタナイト オモツテ、ハジメノ デンデンムシハ、ベツノ オトモダチノ トコロヘ イキマシタ。
「アナタバカリヂヤ アリマセン。ワタシノ セナカニモ カナシミハ イツパイデス」
 ソコデ、ハジメノ デンデンムシハ マタ ベツノ オトモダチノ トコロヘ イキマシタ。
 カウシテ、オトモダチヲ ジユンジユンニ タヅネテ イキマシタガ、ドノ トモダチモ オナジ コトヲ イフノデアリマシタ。
 トウトウ ハジメノ デンデンムシハ キガ ツキマシタ。
「カナシミハ ダレデモ モツテ イルノダ。ワタシバカリデハ ナイノダ。ワタシハ ワタシノ カナシミヲ コラヘテ イカナキヤ ナラナイ」
 ソシテ、コノ デンデンムシハ モウ、ナゲクノヲ ヤメタノデ アリマス。

(青空文庫 所載)

 我らがエースS田さんは、このでんでん虫のように、お友達に
つらいとも、苦しいとも、
おっしゃることはありませんでしたが、

少しだけご事情をお聞きしていた
私は、皆で歌っている時、
皆で飲んで騒いでいる時、
S田さんが朗らかに笑って
おられるのを見ると、
とてもホッとしたものです。

男らしく困難に
立ち向かい続けた先輩の
雄々しい姿は、
本当に立派でした。

でも、時々は、
私たち仲間のところへ来て、
でんでん虫のように、
つぶやいて下さいね。

これからも、みんなで
歌い続けていくことが
互いの支えとなっていきますように。

大した助けにはならないかも
しれないけれど、
そして、一人一人の哀しみは、
やっぱり自分が背負っていくもの
なのかもしれないけど、

でも、いつでも手を伸ばして下さい。
みんながいます。

いつも、手を伸ばして下さい。
みんなで歌う
歌があります。
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