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満員御礼! 磐田バッハブラームス演奏会in市ヶ谷
●ご来場下さった皆々様に、感謝の花束を!
7日は、氷雨降る中を、
本当にたくさんの方に来ていただき、お陰様で素晴らしい演奏会の夜を迎える事が出来ました。
伏して御礼申し上げます!
当初は、なかなかチケットがはけず、大丈夫だろうか? と、やきもきしていたのですが、本番近くになったら、どんどん問い合わせが入り、フタを開けてみたら、
補助席を出さないと、という満員御礼状態。
皆様、本当にありがとうございました。
※当日、どうしても都合がつかなくてゴメンね、というご連絡もたくさんいただきました。これがまた、とても嬉しかったです。ご興味を持って下さり、気に掛けて下さった方々のお気持ちに、勇気づけられました。また東京で催しがありましたら、是非よろしくー!ヽ(^0^)ノ
今回の会場は、響きが良く、
経費もそれほどではない所、というので選択された、ルーテル市ヶ谷センターホール。東京メンバーが
徹夜体制で場所取りして
下さいました。深謝。
客席数は200(補助席をいれて250)という、ホントに小ぢんまりした場所なんですが、元々教会施設なので、ちょっと広めの聖堂という感じ。柔らかい響きが自然と広がる、
メインプログラムであるブラームスのドイツレクイエムをやるには、ぴったりの場所でした。
●しごき、炸裂しました。
まあ、いつものよーに、
直前までしごきにしごかれました。
1音ずつの表現に、
緻密にこだわるマエストロしごきに、全員が
全身全霊で応える事を要求されるわけで、
これがキツい。
んだが、これがまた、
何とも言えない快感(?)。
本番直前まで、
1つ1つの音の表現を、
みんなが自分自身の課題として深めていくのが分かる。
マエストロ標語「1音の響き」というのがあるんですが、1つとして疎かにしていい音はなく、1つのフレーズがあれば、まず最初の1音を作り、それを響かせながら、次の母音の準備をして、次の音に入る、というのを徹底的に叩き込まれます。
基本と言えば基本中の基本なんだけど、これが私なんかには、なかなか出来ない。それでいつも苦労してるんですが、昨年フォーム改造を始めたので、やっと少しずつ安定感が得られるようになってきました。(前回のマタイの時など、本番直前に「全ての音をやり直せ」と激を飛ばされ、ヒイヒイ全てを見直しましたデス)
でも、こういうの、長年疎かにしてきちゃったんですよねー。だから、昔、大人数でオケ付きでドイツレクイエムをやった時なんか、てんで歯が立たない感で打ちのめされ、苦しい思いをしたのでした。
ブラームスは、「あ、この音、どーでもいい音なんだけど、適当に書いといたから、適当にやっといて」で作曲したわけじゃないんですものネ。
全ての音を大切に、大切に書いたに違いありません。なら、歌う方も大切に、大切に、宝物のような響きを与えていこう、と努力するのが当たり前なのかもしれない。
例えば、ドイツレクイエムの第4曲目「主よ、あなたの住まいはなんと麗しいことでしょう」Wie lieblich sind deine Wohnungenの最初の1音目の
Wie(英語ならHow beautiful Your place is..みたいな感じ。感嘆を込めたhow)に、どれだけの憧れと、柔らかいイメージを込められるか。
第1音のWieを、どこまで美しく響かせる事が出来るかどうか、で、もうこの曲のすべてが決まってしまう。
あるいは、
「今より後(von nun an)キリストを信じたまま死に赴いた人は、幸いである。その人の生前の重荷は下ろされ、その行い(信仰をもって生きた事を指す)のゆえに、報われる(神によって永遠の憩いが与えられる)」と静かに歌う終曲では、
von nun an
という言葉に、どれだけの
温かさを与えられるか、
を追求するように求められる。
「今より後」というのは、
キリストが受難を受け、
人々の罪を肩代わりしてくれたために、人々の罪が許された「その時」を指します。
キリスト教では、キリストが受難を受ける前は、人は原罪を背負った罪深い存在で、死んだ後も憩えないものだったのが、キリストのおかげで、死者も生者も、神の愛の中にいられるようになった、と考えます。だから、「今より後」という、この何でもない言葉が、実はとても大切な言葉なのです。
ドイツレクイエムは、ブラームスが亡き母の追悼のために作った作品と言われています。歌詞として選ばれた聖句の数々を読むうちに、ブラームスの心の襞に、惻々と触れていくような深い感慨を覚えます。
それらの聖句を、言葉として表現するなら、聖書を朗読すればいい。音楽では、その言葉を表現するための音、響きを表現する事で、言葉の持つイメージそのものを表現する。
そういう事を真摯に追求していく姿勢。それをマエストロは常に要求してきます。
あれだけの大曲を、あれだけ少ない人数でやるのだから、物凄く時間をかけてしごいているのだろう、と思われる方もいらっしゃるんですけど、実際には、メンバーは名古屋、磐田(浜松のすぐ近く)、静岡、東京、と散らばっており、毎週集まって、長い時間をかけて練習するのは不可能です。マエストロは、ある程度までは、こういう発声、こういうメソッドで、と統一見解をsuggestionなさって、それから外れていると、修正がかかる。でも、結局は1人1人が、自分の問題点として、どう表現するか、頭を絞って考え、身体を動かしていくしかない。自主的に研究しなさい、と放り出されます。
何でもかんでも、ああしなさい、こうしなさい、ではなく、ヒントはあげるから、自分自身で道を切り開いていきなさい、と導いてくれる。
頼っていれば、音取りから発音まで、全部ああしなさい、こうしなさい、とやってくれる指導者の方が、教えてもらう側は楽です。自分で考えなくて済みますから。
けど、実は、楽をしていると、意外と前へ進めません。自分が何をどうやって歌っているのか、自覚的に分析して、じゃあ、どうすればいいのか、と悩むわけです。
大昔、野坂昭如さんが出演したコマーシャルで、
「み~んな悩んで
大きくなったー♪」
ってのがありましたけど、
アレだな、うん。
どの道でもそうかもしれませんが、自分の進む道は、ちゃんと自分で踏みしめていかないと、って事かな、と思います。それでこそ、どんな局面に遭遇しても、乗り越えていく力が培われるのかもしれません。
磐田バッハには、プロとして活躍しているステキなソリストさんたちもたくさんいらっしゃり、今回も合唱も歌い、ソロも歌い、と大活躍して下さりましたが、これって、物凄く難しい事なんじゃないかな………と昨夜もAちゃんと話してたんだけど。
会場いっぱいに、単独で響かせる志向性の極とともに、個性を出さず、合唱サウンドの中に溶け込むことをも要求されるわけですから、二重に厳しい要求がされちゃってるわけ。一体どうやってコントロールしてらっしゃるのか、と思います。
もうこれは、習練で培ったテクニックを駆使したものであることは、言うを待たないわけだけど、そのテクニックを支えるのは、どんな局面でも乗り越えていく強靭な精神力なんだろうな。
ソリストさんたちの背中を見つめながら、合唱の入りのタイミングを計っていると、
背中が語るその息の流れ、
エネルギーの流れが、
私の中にも溢れてくるように感じます。
その上、今回は合唱団メンバーでもあるステキなピアニストお2人の連弾。
鍵盤にそっと音を載せる、
余韻をそっと指先から離す瞬間。ピアノが嬉しげに歌っている。見ているだけで、心が温かく満たされる。
同じ音楽を、
同じ息の流れの中に、
同じエネルギーの中に
感じて、共に歌う瞬間。
これ、至福以外の何物でもないね。
●さて、ムチャぶりもあっさりするマエストロなんですがね。
今回、第1ステージの「4つの歌」では、マエストロの「あ、これ、思い付いちゃった。ちょっとやってよ」のムチャぶりが、実は本番直前に炸裂しました。
「4つの歌」は、4曲の1つ1つがかなり凝った作りで、(実はこっちの方が磐田練習では、しごきにしごかれたのだが)それぞれに難しくもあり、また興趣に富んだ曲なのですが、いかんせん、短い。
演奏会プログラムとしては、ちょっと短いかなぁ……。
というのを気にされていたのかもしれません。
で、本番の2日前に、
浜松でソロをやるNちゃんを
口説き落として、
曲の冒頭に、
それぞれの曲の歌詞を
ドイツ語で朗読する。
というのが急遽決まった。
↑
本番直前になると、頭が高速回転して、アイデアを思い付くらしい(^◇^;)
カールスルーエに留学していたNちゃんのドイツ語は、ネイティブ張りに美しく、会話も歌も、
あああ、ドイツ語って、
美しいよぉ!
と感動してしまう。
で、それをこの際披露してもらおう、という事になった。
朗読の賞も受賞している彼女だからこそ出来るワザで、
私たちはみんなで
「マエストロ、ナイス!!」
と大喜びしてたんだけど、
Nちゃんは準備期間が短いもんだから、大変。どうやったら、ああやったら、と直前まで練習していた。
が、本番はさすがに
美しく、あああ、
この言葉、こういうリズムで、こういう流れで
話されるものなのね~。
キレイだぁ~(≧▽≦)
で、なんか、この難しい4つの歌を歌う勇気をもらった気がしました。
浜松でも、またじっくり
聴きたいなぁ。
●オーロラなんだよー。
ドイツレクイエムが始まる直前、袖でマエストロが、
「1曲目の1音目は、
オーロラのようにね」とおっしゃいまして、あああ、それは美しいイメージだ!
(≧▽≦)
天空を美しく揺らめく「幸せSelig」の音。
それだぁ!
というので、
つい「オーロラ、オーロラ」と唱えながらオンステしました。なんか、みんなで唱えてたような(^◇^;)
美しいオーロラが響いていたかな~(*^▽^*)
で、思いっきり良く
ドイツレクイエムの世界に
入り込み、終曲まで
言葉の持つイメージに
寄り添って歌い続ける事ができたように思います。
●楽しい新たな出会いに有頂天!
今回、たくさんのお客様をお迎えでき、本当に嬉しかった。前回の紀尾井ホールほどの人数は入らない小さな場所でしたが、小さめだけに、お客様の顔が良く見える。客席の空気がすぐわかった。
あ~、どの辺に誰がいるんだろうね~(≧▽≦)と
楽しく想像しつつ(目が悪いので、客席の方々のお顔を見分けられない)、1音ずつ丁寧に、を心掛けて歌いました。
で、終演後、ご挨拶に
馳せ参じた訳ですが、
Y田さんご夫婦が満面の笑みでガッチリ握手して下さった。さらに、お連れ下さったお友達ご夫婦2組とも、はじめましてを兼ねて握手会。
で、お話しているうちに、実は清水が実家で、という方がいらっしゃり、さらに詳しくお話してたら、なんとかなりご近所である上に、作曲家のY利子さんのお従姉さんに当たる上に、ピアノの姉弟子であられる事も判明! 共通の親しい方もあり、さらにご両親はうちの父の患者さんだったりしたという、うわぁ、濃い! ここまで濃い関係者にいきなり会ってしまうとは~! とお互いに大いに盛り上がり。(実はこの日オンステしたメンバーの中にも、妹弟子に当たられる方もいる。ピアノでつながる人間関係だ!)で、「先生、怖かった、泣かされた」の話題で2人の世界に入ってしまう、と。
また、クラブOB会全体のメーリングリストに宣伝したのに応えて来て下さった、平成11年卒学生指揮者の方にも、無事にお目もじし、ソーニョ関係者としてご臨席遊ばされたT井さん、ココさん、まるみちゃんにもお引き合わせさせていただき、さらに一緒に東京都合唱祭に出ましょうよー、とか言って誘っていたのですが、
なんと、この方、静岡バッハ所属のY本先生の存じよりの方でした! 京都の合唱団の正指揮者と副指揮者関係だって。わああ、二重つながり、二重らせん? これはもう、ソーニョにも顔を出してもらうしかない。(とは言え、現在京都にお住まいなので、練習に参加していただくには、出張を作ってもらわなければ?)というわけで、I上さん、私たち世代の5年間前後で作っているOB合唱団Sogno di SONO(ソーノの夢)でも、お待ち申し上げておりまーす! 是非とも我らソーニョの指揮者N山さんの指揮にも触れていただきたいです~(≧▽≦)
↑
学生時代から、私たちはN山先生とお呼びし、尊敬申し上げ、振っていただいてます。私など、「人使いが荒い」とブツブツ言われながらも、毎年夏には静岡へも遠征していただき、夏のお楽しみ音楽会でも振っていただいてます。これもまた、変則合唱団で、男声主力部隊は東京や名古屋在住のソーノOB及びその関係者で、普段は自主トレにいそしんでいただき、当日一発勝負でオンステ、後は死ぬほど呑んで食べてだべってもらう、という大宴会イベントであります。機会がありましたら、静岡へも是非お遊びにいらして下さいね!
●個人的に期していたこと
今回の演奏会、どうしても聴いてもらいたい人があり、真っ先にお知らせ。
埼玉で1人暮らしをしている
叔父です。
母の妹のダンナ様で、
母の妹が我が家で住み込み薬剤師をやっていた関係上、
結婚前から我が家によくやって来て、うちの両親を
「お兄さん、お姉さん」と慕ってくれた優しい叔父です。
静岡の薬科大学で叔母と出会い、2人で合唱も学生時代からやっており、2人揃って洗礼も受けた、ともかくオシドリ夫婦というか、アツアツ夫婦でした。
その叔母が先年亡くなり、
1人暮らしになってしまった叔父は、それでも教会の長老の仕事やら、合唱団の運営やらで忙しくして、頑張ってはいるのですが、やっぱりどうも心配で、毎年復活祭の時は泊まりがけで盛り上げに行ってます。娘たちもいるのですが、遠くに住んでたりしますし、叔母はよく私の事を「うちの長女なの♡」と人に紹介して喜んでいたので、私もそのつもり♡
というわけで、今回、どうしてもドイツレクイエムを聴かせたかった。昔の薬学部出なので、ドイツ語、しみじみと沁みるかも。
未だにすぐ叔母の話が出て、
いつまでも変わらず愛しているんだなぁ、と時々感じ入ってしまうくらい、愛情深い人で、また信仰深い、ステキな叔父です。
ブラームスの選んだ聖句には、いつも教会で親しんで
いるだけに、それを大好きな音楽の響きの中で聴けば、
大きな慰めになるんじゃないかな、と思って。
というわけで、個人的に、
叔父の心にこの1音が届け!
と願って歌い続けました。
とても喜んでくれて、ちょっとウルウルしてたー(≧▽≦)
話したいことが溢れちゃってたんですが、終演後の僅かな時間では話し切れなかったんで、また4月の復活祭の時にゆっくり話してこようと思います。
●で、思いが届くように、のおまじないに
アクセサリー着用自由、を
いいことに、今回は
お気に入りの頂き物を2つ着用。
M奈子ちゃんが選んで下さった薔薇の聖母のロザリオ(短いので、ブレスレットとして着用できる)と、
先日こーらちゃんにもらった
翡翠のピンキーリング(小指にはめる指輪)。毎回土曜日が演奏会なもんだから、土曜日も仕事している彼女をなかなか誘えない。代わりに指輪に聴かせておこう、と、着用に及んだ次第。
2人の温かいハートと共に、幸せなステージ体験が出来、これもまた、秘かな喜びだったのでした。
7日は、氷雨降る中を、
本当にたくさんの方に来ていただき、お陰様で素晴らしい演奏会の夜を迎える事が出来ました。
伏して御礼申し上げます!
当初は、なかなかチケットがはけず、大丈夫だろうか? と、やきもきしていたのですが、本番近くになったら、どんどん問い合わせが入り、フタを開けてみたら、
補助席を出さないと、という満員御礼状態。
皆様、本当にありがとうございました。
※当日、どうしても都合がつかなくてゴメンね、というご連絡もたくさんいただきました。これがまた、とても嬉しかったです。ご興味を持って下さり、気に掛けて下さった方々のお気持ちに、勇気づけられました。また東京で催しがありましたら、是非よろしくー!ヽ(^0^)ノ
今回の会場は、響きが良く、
経費もそれほどではない所、というので選択された、ルーテル市ヶ谷センターホール。東京メンバーが
徹夜体制で場所取りして
下さいました。深謝。
客席数は200(補助席をいれて250)という、ホントに小ぢんまりした場所なんですが、元々教会施設なので、ちょっと広めの聖堂という感じ。柔らかい響きが自然と広がる、
メインプログラムであるブラームスのドイツレクイエムをやるには、ぴったりの場所でした。
●しごき、炸裂しました。
まあ、いつものよーに、
直前までしごきにしごかれました。
1音ずつの表現に、
緻密にこだわるマエストロしごきに、全員が
全身全霊で応える事を要求されるわけで、
これがキツい。
んだが、これがまた、
何とも言えない快感(?)。
本番直前まで、
1つ1つの音の表現を、
みんなが自分自身の課題として深めていくのが分かる。
マエストロ標語「1音の響き」というのがあるんですが、1つとして疎かにしていい音はなく、1つのフレーズがあれば、まず最初の1音を作り、それを響かせながら、次の母音の準備をして、次の音に入る、というのを徹底的に叩き込まれます。
基本と言えば基本中の基本なんだけど、これが私なんかには、なかなか出来ない。それでいつも苦労してるんですが、昨年フォーム改造を始めたので、やっと少しずつ安定感が得られるようになってきました。(前回のマタイの時など、本番直前に「全ての音をやり直せ」と激を飛ばされ、ヒイヒイ全てを見直しましたデス)
でも、こういうの、長年疎かにしてきちゃったんですよねー。だから、昔、大人数でオケ付きでドイツレクイエムをやった時なんか、てんで歯が立たない感で打ちのめされ、苦しい思いをしたのでした。
ブラームスは、「あ、この音、どーでもいい音なんだけど、適当に書いといたから、適当にやっといて」で作曲したわけじゃないんですものネ。
全ての音を大切に、大切に書いたに違いありません。なら、歌う方も大切に、大切に、宝物のような響きを与えていこう、と努力するのが当たり前なのかもしれない。
例えば、ドイツレクイエムの第4曲目「主よ、あなたの住まいはなんと麗しいことでしょう」Wie lieblich sind deine Wohnungenの最初の1音目の
Wie(英語ならHow beautiful Your place is..みたいな感じ。感嘆を込めたhow)に、どれだけの憧れと、柔らかいイメージを込められるか。
第1音のWieを、どこまで美しく響かせる事が出来るかどうか、で、もうこの曲のすべてが決まってしまう。
あるいは、
「今より後(von nun an)キリストを信じたまま死に赴いた人は、幸いである。その人の生前の重荷は下ろされ、その行い(信仰をもって生きた事を指す)のゆえに、報われる(神によって永遠の憩いが与えられる)」と静かに歌う終曲では、
von nun an
という言葉に、どれだけの
温かさを与えられるか、
を追求するように求められる。
「今より後」というのは、
キリストが受難を受け、
人々の罪を肩代わりしてくれたために、人々の罪が許された「その時」を指します。
キリスト教では、キリストが受難を受ける前は、人は原罪を背負った罪深い存在で、死んだ後も憩えないものだったのが、キリストのおかげで、死者も生者も、神の愛の中にいられるようになった、と考えます。だから、「今より後」という、この何でもない言葉が、実はとても大切な言葉なのです。
ドイツレクイエムは、ブラームスが亡き母の追悼のために作った作品と言われています。歌詞として選ばれた聖句の数々を読むうちに、ブラームスの心の襞に、惻々と触れていくような深い感慨を覚えます。
それらの聖句を、言葉として表現するなら、聖書を朗読すればいい。音楽では、その言葉を表現するための音、響きを表現する事で、言葉の持つイメージそのものを表現する。
そういう事を真摯に追求していく姿勢。それをマエストロは常に要求してきます。
あれだけの大曲を、あれだけ少ない人数でやるのだから、物凄く時間をかけてしごいているのだろう、と思われる方もいらっしゃるんですけど、実際には、メンバーは名古屋、磐田(浜松のすぐ近く)、静岡、東京、と散らばっており、毎週集まって、長い時間をかけて練習するのは不可能です。マエストロは、ある程度までは、こういう発声、こういうメソッドで、と統一見解をsuggestionなさって、それから外れていると、修正がかかる。でも、結局は1人1人が、自分の問題点として、どう表現するか、頭を絞って考え、身体を動かしていくしかない。自主的に研究しなさい、と放り出されます。
何でもかんでも、ああしなさい、こうしなさい、ではなく、ヒントはあげるから、自分自身で道を切り開いていきなさい、と導いてくれる。
頼っていれば、音取りから発音まで、全部ああしなさい、こうしなさい、とやってくれる指導者の方が、教えてもらう側は楽です。自分で考えなくて済みますから。
けど、実は、楽をしていると、意外と前へ進めません。自分が何をどうやって歌っているのか、自覚的に分析して、じゃあ、どうすればいいのか、と悩むわけです。
大昔、野坂昭如さんが出演したコマーシャルで、
「み~んな悩んで
大きくなったー♪」
ってのがありましたけど、
アレだな、うん。
どの道でもそうかもしれませんが、自分の進む道は、ちゃんと自分で踏みしめていかないと、って事かな、と思います。それでこそ、どんな局面に遭遇しても、乗り越えていく力が培われるのかもしれません。
磐田バッハには、プロとして活躍しているステキなソリストさんたちもたくさんいらっしゃり、今回も合唱も歌い、ソロも歌い、と大活躍して下さりましたが、これって、物凄く難しい事なんじゃないかな………と昨夜もAちゃんと話してたんだけど。
会場いっぱいに、単独で響かせる志向性の極とともに、個性を出さず、合唱サウンドの中に溶け込むことをも要求されるわけですから、二重に厳しい要求がされちゃってるわけ。一体どうやってコントロールしてらっしゃるのか、と思います。
もうこれは、習練で培ったテクニックを駆使したものであることは、言うを待たないわけだけど、そのテクニックを支えるのは、どんな局面でも乗り越えていく強靭な精神力なんだろうな。
ソリストさんたちの背中を見つめながら、合唱の入りのタイミングを計っていると、
背中が語るその息の流れ、
エネルギーの流れが、
私の中にも溢れてくるように感じます。
その上、今回は合唱団メンバーでもあるステキなピアニストお2人の連弾。
鍵盤にそっと音を載せる、
余韻をそっと指先から離す瞬間。ピアノが嬉しげに歌っている。見ているだけで、心が温かく満たされる。
同じ音楽を、
同じ息の流れの中に、
同じエネルギーの中に
感じて、共に歌う瞬間。
これ、至福以外の何物でもないね。
●さて、ムチャぶりもあっさりするマエストロなんですがね。
今回、第1ステージの「4つの歌」では、マエストロの「あ、これ、思い付いちゃった。ちょっとやってよ」のムチャぶりが、実は本番直前に炸裂しました。
「4つの歌」は、4曲の1つ1つがかなり凝った作りで、(実はこっちの方が磐田練習では、しごきにしごかれたのだが)それぞれに難しくもあり、また興趣に富んだ曲なのですが、いかんせん、短い。
演奏会プログラムとしては、ちょっと短いかなぁ……。
というのを気にされていたのかもしれません。
で、本番の2日前に、
浜松でソロをやるNちゃんを
口説き落として、
曲の冒頭に、
それぞれの曲の歌詞を
ドイツ語で朗読する。
というのが急遽決まった。
↑
本番直前になると、頭が高速回転して、アイデアを思い付くらしい(^◇^;)
カールスルーエに留学していたNちゃんのドイツ語は、ネイティブ張りに美しく、会話も歌も、
あああ、ドイツ語って、
美しいよぉ!
と感動してしまう。
で、それをこの際披露してもらおう、という事になった。
朗読の賞も受賞している彼女だからこそ出来るワザで、
私たちはみんなで
「マエストロ、ナイス!!」
と大喜びしてたんだけど、
Nちゃんは準備期間が短いもんだから、大変。どうやったら、ああやったら、と直前まで練習していた。
が、本番はさすがに
美しく、あああ、
この言葉、こういうリズムで、こういう流れで
話されるものなのね~。
キレイだぁ~(≧▽≦)
で、なんか、この難しい4つの歌を歌う勇気をもらった気がしました。
浜松でも、またじっくり
聴きたいなぁ。
●オーロラなんだよー。
ドイツレクイエムが始まる直前、袖でマエストロが、
「1曲目の1音目は、
オーロラのようにね」とおっしゃいまして、あああ、それは美しいイメージだ!
(≧▽≦)
天空を美しく揺らめく「幸せSelig」の音。
それだぁ!
というので、
つい「オーロラ、オーロラ」と唱えながらオンステしました。なんか、みんなで唱えてたような(^◇^;)
美しいオーロラが響いていたかな~(*^▽^*)
で、思いっきり良く
ドイツレクイエムの世界に
入り込み、終曲まで
言葉の持つイメージに
寄り添って歌い続ける事ができたように思います。
●楽しい新たな出会いに有頂天!
今回、たくさんのお客様をお迎えでき、本当に嬉しかった。前回の紀尾井ホールほどの人数は入らない小さな場所でしたが、小さめだけに、お客様の顔が良く見える。客席の空気がすぐわかった。
あ~、どの辺に誰がいるんだろうね~(≧▽≦)と
楽しく想像しつつ(目が悪いので、客席の方々のお顔を見分けられない)、1音ずつ丁寧に、を心掛けて歌いました。
で、終演後、ご挨拶に
馳せ参じた訳ですが、
Y田さんご夫婦が満面の笑みでガッチリ握手して下さった。さらに、お連れ下さったお友達ご夫婦2組とも、はじめましてを兼ねて握手会。
で、お話しているうちに、実は清水が実家で、という方がいらっしゃり、さらに詳しくお話してたら、なんとかなりご近所である上に、作曲家のY利子さんのお従姉さんに当たる上に、ピアノの姉弟子であられる事も判明! 共通の親しい方もあり、さらにご両親はうちの父の患者さんだったりしたという、うわぁ、濃い! ここまで濃い関係者にいきなり会ってしまうとは~! とお互いに大いに盛り上がり。(実はこの日オンステしたメンバーの中にも、妹弟子に当たられる方もいる。ピアノでつながる人間関係だ!)で、「先生、怖かった、泣かされた」の話題で2人の世界に入ってしまう、と。
また、クラブOB会全体のメーリングリストに宣伝したのに応えて来て下さった、平成11年卒学生指揮者の方にも、無事にお目もじし、ソーニョ関係者としてご臨席遊ばされたT井さん、ココさん、まるみちゃんにもお引き合わせさせていただき、さらに一緒に東京都合唱祭に出ましょうよー、とか言って誘っていたのですが、
なんと、この方、静岡バッハ所属のY本先生の存じよりの方でした! 京都の合唱団の正指揮者と副指揮者関係だって。わああ、二重つながり、二重らせん? これはもう、ソーニョにも顔を出してもらうしかない。(とは言え、現在京都にお住まいなので、練習に参加していただくには、出張を作ってもらわなければ?)というわけで、I上さん、私たち世代の5年間前後で作っているOB合唱団Sogno di SONO(ソーノの夢)でも、お待ち申し上げておりまーす! 是非とも我らソーニョの指揮者N山さんの指揮にも触れていただきたいです~(≧▽≦)
↑
学生時代から、私たちはN山先生とお呼びし、尊敬申し上げ、振っていただいてます。私など、「人使いが荒い」とブツブツ言われながらも、毎年夏には静岡へも遠征していただき、夏のお楽しみ音楽会でも振っていただいてます。これもまた、変則合唱団で、男声主力部隊は東京や名古屋在住のソーノOB及びその関係者で、普段は自主トレにいそしんでいただき、当日一発勝負でオンステ、後は死ぬほど呑んで食べてだべってもらう、という大宴会イベントであります。機会がありましたら、静岡へも是非お遊びにいらして下さいね!
●個人的に期していたこと
今回の演奏会、どうしても聴いてもらいたい人があり、真っ先にお知らせ。
埼玉で1人暮らしをしている
叔父です。
母の妹のダンナ様で、
母の妹が我が家で住み込み薬剤師をやっていた関係上、
結婚前から我が家によくやって来て、うちの両親を
「お兄さん、お姉さん」と慕ってくれた優しい叔父です。
静岡の薬科大学で叔母と出会い、2人で合唱も学生時代からやっており、2人揃って洗礼も受けた、ともかくオシドリ夫婦というか、アツアツ夫婦でした。
その叔母が先年亡くなり、
1人暮らしになってしまった叔父は、それでも教会の長老の仕事やら、合唱団の運営やらで忙しくして、頑張ってはいるのですが、やっぱりどうも心配で、毎年復活祭の時は泊まりがけで盛り上げに行ってます。娘たちもいるのですが、遠くに住んでたりしますし、叔母はよく私の事を「うちの長女なの♡」と人に紹介して喜んでいたので、私もそのつもり♡
というわけで、今回、どうしてもドイツレクイエムを聴かせたかった。昔の薬学部出なので、ドイツ語、しみじみと沁みるかも。
未だにすぐ叔母の話が出て、
いつまでも変わらず愛しているんだなぁ、と時々感じ入ってしまうくらい、愛情深い人で、また信仰深い、ステキな叔父です。
ブラームスの選んだ聖句には、いつも教会で親しんで
いるだけに、それを大好きな音楽の響きの中で聴けば、
大きな慰めになるんじゃないかな、と思って。
というわけで、個人的に、
叔父の心にこの1音が届け!
と願って歌い続けました。
とても喜んでくれて、ちょっとウルウルしてたー(≧▽≦)
話したいことが溢れちゃってたんですが、終演後の僅かな時間では話し切れなかったんで、また4月の復活祭の時にゆっくり話してこようと思います。
●で、思いが届くように、のおまじないに
アクセサリー着用自由、を
いいことに、今回は
お気に入りの頂き物を2つ着用。
M奈子ちゃんが選んで下さった薔薇の聖母のロザリオ(短いので、ブレスレットとして着用できる)と、
先日こーらちゃんにもらった
翡翠のピンキーリング(小指にはめる指輪)。毎回土曜日が演奏会なもんだから、土曜日も仕事している彼女をなかなか誘えない。代わりに指輪に聴かせておこう、と、着用に及んだ次第。
2人の温かいハートと共に、幸せなステージ体験が出来、これもまた、秘かな喜びだったのでした。
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