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合唱のこと、英語のこと、本のこと、友達のこと、仕事のこと・・・とりあえず、ダラダラ続ける日記です。

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今年もクール・プリエールを楽しんできた!
●(土)から上京中デス。

例によって直前までジタバタと
仕事をし、前日になってあわてて
参考音源を聴きながら
ソーニョの課題曲3曲の2時間漬けをし、
高速バスに飛び乗りました。

今回のお題は、木下牧子シリーズで、
練習曲として「めばえ」、さらに
『方舟』の第2曲目の「木馬」。
で、千代田区合唱祭用の本番曲として、
『方舟』より「水底吹笛」。

「めばえ」は以前にやっているので、
母音を鳴らす位置の見直し………くらいで
何とかなったのだが、問題は『方舟』の2曲。

「木馬」は音程感覚、「水底吹笛」はリズム感覚が
難しく、さらに(金)は風邪っぽかったのか、
てんで声が鳴らなくて真っ青!
(※通常、練習で歌いまくる(火)と(土)が台風と
用事で練習出来なかったので、ノドがカンペキに
寝ていたよーでもあります。)

とりあえず譜面を読んでおかないと、
どーしようもないので、譜面を読みつつ、
参考音源の住金合唱団演奏を聴きまくる、と。

おかげさまで、この曲はこう歌うんだ、という
ニュアンスだけはつかめました。

で、神田の練習会場に入ったら、
何とか声が起きたらしく、出ました。(^-^;)良かった~。

楽しくしごかれた結果、
なぜか今、頭の中で「木馬」がグルグル。
歌ってみたら、「水底吹笛」もおもしろく、
歩いていると、時折脳内再生されるんですが、
なぜか始終「木馬」が出てくる。
このどっぷり7thコード……の感じがいいのかな。
 ↑
※カントクのお話によると、終曲の「方舟」は、
どっぷり5拍子でムチャクチャ難しいんだそうな。
Take Fiveみたいなものなのかなー。コワいから、
譜面は見ないでおこうっと♪

●で、今日は恒例クール・プリエールのコンサート。

駅の改札で娘と待ち合わせ、
浜離宮朝日ホールへ。

ソーニョの同期・K氏がテナーで頑張っている
ので、毎年なるべく応援に、と伺いますが、

指揮者の黒岩先生には
静岡で第九やら復活やら振っていただいた経験があり、

ボイストレーナーに
磐田バッハの北條さんがいらっしゃる団、
というので、何かとても親しみを覚えていたりするのでした。

●今年のプログラム、秀逸!

修道士として研鑽を詰まれた経験をお持ちの
黒岩先生が指揮される団なので、
さまざまに宗教曲が楽しめる……というのが
この合唱団の魅力なのですが、

今回はメインに持ってきたブラームスの
「ドイツ・レクイエム」に合わせて、
前半にもグッとくる宗教曲が!

第1ステージは、団内指揮者さんの
美しいソロが先唱するグレゴリオ聖歌。

Amicus meus osculi me tradidit signo
(私の友がもたらした接吻は裏切りのしるしであった)

という衝撃的な言葉が静謐のうちに歌われます。
ユダの裏切りのシーンですね。

先唱に続いて男声、さらに女声も重なり、
この悲劇的なシーンを静かに歌い切る。

ほぉ、と息をついた次の瞬間、

すぐさま第2ステージのヴィクトリアが
始まりました。「聖週間の応唱集」から
(1)(5)(8)(12)の4曲なのですが、

この第1曲目が、
先に歌われたAmicus meusだったんです。

つまり、グレゴリオ聖歌のものと
同じ聖句を用いたものなんですね。

こういうプログラムで、続けて聴けるなんて、
なんという嬉しいサプライズ!

グレゴリオに比べると、
ヴィクトリアは何と輝かしいモノであるか、
初めて実感しました。

どちらがより良い、というのではなく、
どちらもそれぞれが、別の輝き方をしてる。
グレゴリオもヴィクトリアも、
ますます好きになりました。

こんなプログラムで歌えるなんて、
何という贅沢な合唱団か!
 ↑
※もっとも、グレゴリオもヴィクトリアも、
どちらもとっても難しくて、そうおいそれとは
出来ない。長年積み重ねられたものがあるからこそ、
出来るプログラムなのかもね。

印象的だったのは、第8曲目の
Tenebrae factae sunt, (暗闇が覆った)

イエスの臨終のシーンを歌った聖句。

テナーが難しくて、純正律をキープして
いくのが大変な曲なんだけど、それを
ガッチリとベースが豊かに支えていて、
詩の内容とともにズシンと心に響きました。

8曲目は男声オンリーの曲でしたが、
第12曲は、女声も活躍。
最後のcadenzaでのソプラノとバスの
5度ハモリ(ソプラノがC、バスがF)が、
それはそれは美しかった。

●第2ステージは一転してイタリアン!

第2ステージはイタリアのマドリガーレ3曲。

ラテン語の静謐な世界とは対照的に、
イタリア語をいっぱいに鳴らしているのが
ホール全体に響いて気持ちが良い。

この合唱団は、どのパートもバランス良く響くため、
曲の最後に来るcadenzaの和音が聴き応えあり。
ああいう風にきれいに響きが重なるといいよね~(≧▽≦)

第2曲目のDispietata pietate(無慈悲な慰め)は、
技巧的装飾音を入れるところがあって、
これを合唱で合わせるのが難しい。
少し男声で生音っぽいのが聞こえたみたいで、
それが、ちょっと惜しかった。
ラテン語やドイツ語に比べると、
イタリア語っぽい流麗さの点が少し弱いような。
やはり、生真面目な日本人には、
情熱的なイタリアンは馴染みにくいのかもしれない?!

3曲目のCrude Amarilli(つれないアマリッリ)。

これって、声楽の習い始めに誰もがやる、あの
Amarilli mia bella......と同じ内容では?!(≧▽≦)

ムキャー!(と、1人うけ)

プログラム解説によると、16世紀に一世を風靡した
グァリーニの牧歌劇『忠実な羊飼い』第1幕による
ものだそうで、複数の作曲家がこの題材で
曲を書いているんだそうです。

羊飼いのミルティッロは、恋人アマリッリとの仲を
神託によって突然引き裂かれ、不幸を嘆いて歌うんだ
そうです。アマリッリは残酷にも僕を捨てて……云々
みたいに嘆いているんですが、ミルティッロは
知りませんが、実はアマリッリも身の不幸を
嘆いているのだとか。

※すんません、高校時代に「アマリッリ」を
練習した時は、「なんだろう、この歌詞。
アマリッリって、誰?」とか思いながら、
特に調べてみようとも思わず、今に至って
まして。この詳細なプログラム解説で、
初めてそーいう劇形式のものがあったんだ、
と知りました~(^◇^;)もっとちゃんと調べないとね!

プリエールの演奏では、後半が小編成の
重唱になっていて、バスの方がこれぞ
イタリアン、というステキなリズムで
美声を発揮されていたのが印象的でした。

●で、ドイツ・レクイエムに突入っと!

※後半最初のプログラムは、
黒岩先生の息子さんでピアニストの黒岩悠(はるか)さんのピアノ独奏ステージ。

バッハのパルティータ2番(BWV826)と、
同じくバッハのカンタータBWV106「哀悼行事」より
ソナティーナ、というの。BWV106がとても良かった。

実はブラームスはバッハ大好きで、
ドイツ・レクイエムの着想は、このBWV106などから
得たと言われているんだそーです。
 ↑
再び詳細なプログラム解説より。

そう言われてみれば、左手が奏でる「歩行連打」(と言うそうです。Walking Bassみたい?!)が
ドイツ・レクイエムっぽい!

というわけで、今回の演奏会プログラムは、
ともかくブラームスのドイツ・レクイエムに至る
連綿と続く哀悼のハーモニーの連なりを
実際に耳で楽しむ、という素晴らしい作りに
なっていて、いやぁ、これはお得な演奏会だった、と
今さらながらに思うワケで、今日行けて良かった、良かった。

解説にもありましたが、ドイツ・レクイエムは、
モーツァルトなどの他の有名なレクイエムとは
異なり、死者ミサで使われる事が決まっている典礼文
を使っていません。自身が好きだった聖書の詩句を、
ルター訳からかなり自在に選んでいます。
典礼文の形式よりも、より人間的な悩み苦しみに
ついて語るもの、あるいは典礼文よりもさらに
純粋なイメージの神への賛美を求めて、詩句を
選んでいったのかもしれませんね。
 ↑
そのため、このレクイエムを歌うのって、
他のレクイエムよりも、より精神的に来るんだよなー。
一番最初にステージにかけた時は、体力もすごく
必要でしたが、それ以上に精神力が要る感じだった。

第1曲目のSelig sind, die da Leid tragen(悲しむ人々は幸いである)の出だし、これが極限までピアニッシモで静かに、静かに入らなければならない。緊張するところです。

つい自分も緊張して聴いてしまいましたが、
見事に静謐に歌い切って下さり、思わずため息。
支えがしっかりしているんでしょうね。

男声のDie mit 、
人間の声って、美しいなぁ、と感じ入りました。
イタリアンより男声が重厚に鳴っていて、
4声のバランスも素晴らしく、
やっぱりドイツ語って、いいよね~(≧▽≦)

第2曲Denn alles Fleisch, (人は皆、草のようで)

大曲で、さまざまな要素が次々と出てくる
難しい曲。アルトが素晴らしい支えと
パートソロを聴かせてくれました。

音量を絞らなければいけない部分で、
特に男声に聞こえましたが、
schやsといった語尾がどうしてもバラけて
しまう部分があり、とっても残念でした。
ビミョーにお1人お1人で、
息の回し方、保ち方が、
長丁場になると合わせにくくなるのかもしれませんね。
難しいなぁ。

で、大曲で難曲の2番が終わると、
また次の大曲で難曲が来る………大変な曲集デス。

第3番は、バリトンソロと合唱の掛け合いになる
Herr, lehre doch mich(教えてください、主よ)。

これ、歌詞が大好きなんですよね。
重いし、歌う度に考え込んでしまうけれど、
繰り返し悩み続けるのが人間なのかな、と思う。

で、バリトンソロは、プリエールのボイストレーナーも
つとめておられるお馴染みの山口統央(おさむ)さん。
若くて優秀で、清心の気に溢れるソロで、
前回も大いに楽しませていただきましたが、
今回のソロはもう、すごい! 山口さん、絶好調!
昨年よりさらに重厚な響きで、
1つ1つの言葉が胸に染み込むようでした。

合唱団も、山口さんのソロに気持ちを合わせ、
素晴らしい出来だったと思います。
燃え上がりましたね。

で、次がラブリーな第4曲Wie lieblich sind deine Wonungen(あなたの住まいはなんと美しいことでしょう)。

これ、大好きで~(≧▽≦)
つい、こっそり口パクで歌っちゃいました❤

神様が住まわれる場所ーー天国の美しさへの
憧憬を込めたこの曲、あくまでも
柔らかく、高く、1音1音最上のシフォンを
重ねて、紡ぎ出していく曲。

はー、考えただけで、幸せな気持ち。

で、これを幸せに歌い終わると、
ソプラノソロが超絶美しい、

Ihr habt nun Traurigkeit(今はあなたがたも悲しんでいる)が来るワケで、これがまた沁みます。

ソプラノソロは、プリエール団員として
合唱も歌われる武田裕子先生。名手です。
美しく紡がれる高音部に聞きほれていくと、
最後にsotto voceで語り掛けられる合唱の
wie einen seine Mutter trostet
(母がその子を慰めるように)
が胸に迫ってきます。
この部分、とってもとっても丁寧に
歌って聴かせて下さいましたね。
ふ、と柔らかな聖母子像の画像を
イメージしました。

静かなうちに第5曲が終わりを迎えると、
ついに最後の山場が始まります。

歌う度に、次の第6曲Denn wir hsben...(わたしたちはこの地上に永続する都を持っておらず)の壮大さ、
難しさに、全精力を搾り取られ、
ここで終われたらどんなにいいか、
と思ったりするんですけど、
(これが終わった辺りで、ソプラノは
体力をごっそり持っていかれるので、
この先高さを保つのに四苦八苦する!)

第6が終わった後には、
さらにもう一山頑張らねば
乗り越えられない第7曲Selig sind die Toten
(主に結ばれて死ぬ人は幸いである)が来ます。

この第6と第7に採られている詩句の大部分は、
ヨハネの黙示録から取られています。

………と聴いただけで、ドラマチックな感じ、
しますよね。

もう、これでもか、これでもか、
という波状攻撃が来るのが
ブラームスっぽいワケで、
疲れもピークですが、もうひとがんばりするしかない。

この第6と第7曲のミソは、

第7曲に出てくる

Selig sind die Toten, die in dem Herrn sterben,
von nun an.
(今から後、主に結ばれて死ぬ人は幸いである)

のvon nun an(今から後)だ、と教わった事があります。

「今から後」というのは、

キリストが全人類の罪を背負って、
その罪を贖(あがな)うために、十字架に
かかり、3日の後に復活を遂げ、
全人類を救った「後」です。

それまでは、罪人である人間の罪を、
神様に許してやって下さい、と頼んでくれる
仲介役がいなかったのだけど、
キリストがその仲介役になってくれたおかげで、
私たち人類は、キリストに従う事によって
神様のもとで憩う事が出来るようになったわけで。

だから、キリストを信じ、その教えに従う者は、
キリストが罪を贖って下さってあるから、
安心して神様のもとへ行けるんだよ、
というわけ。(非常に簡略化して、乱暴な
言い方ですけどね)

von nun anなんて、何でもない
取るに足りない言い回しなんですけど、
意味をよくよく考えてみると、
実はキリスト教の最も大切な信仰の柱を
指し示す言葉です。

というわけで、この第7曲目のvon nun anの
柔らかなメロディーを聴くたびに、

ああ、ブラームスは、
この柔らかい響きの中に
神様への憧れや、
許しや、
苦悩を超えた平らかな心を
いっぱい込めたんじゃないかな、と思ってしまう。

それはWie lieblichを聴く至福の先にある、
心が求めた1つの到達点のように感じられる。

普段は自分が歌う事の方が多く、
この壮大な名曲を客席でしっとりと
味わう機会がないのだけど、
今日は心ゆくまで堪能する事ができた。

良い日だった。

歌ってくれた皆さんに感謝の花束を。


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